| 関 連 記 事 |
■ 01 ルポ 美容整形 | 身体加工のテクノロジー
日本経済新聞/1991年12月11日 夕刊

週刊誌が「手術の失敗例」を取り上げ、美容整形手術の内幕がにわかに注目されているが、「成功例もあれば失敗もある。ありのまま書きたい」とフリーライターの山下柚実さんは『ルポ美容整形』を刊行した。手術体験者、美容外科医ともに約三十人に会ったが、整形の「大量生産」ぶりにあきれている。顔の皮膚を剥ぎとり、縫い合わせる「ぬいぐるみ作り」のような「しわ取り手術」の作業。自分の太ももから吸い取った脂肪を見ながら「細くなった」と喜ぶ女性の姿。そして外出できないほどの顔つきにされ、訴訟中の高年女性などの例がリポートされている。執筆のきっかけは、美容整形の広告を掲載している女性誌編集者の「どうも業界の様子があやしい」というぼやき。「手術前」「手術後」の写真を並べ、記事風に仕立ててある広告には、規制も加えられていない。市民健康情報センターなど民間の相談所にも苦情はここ一両年激増中で、同センターは「よく調べてから」と訴えている。



体と心の本棚

近ごろ就職試験を前にした学生の美容整形が増えている。顔の美しさが、面接試験に有利であることが、大きな理由の一つだという。学生に限らず、自らの顔を美しくしたいと考えている人は多い。整形の技術が進歩したことも手伝って、美容整形に抵抗を持たない人が増えつつある。本書は、手術現場や医師、そして実際に整形を受けた人々をじかに取材したルポルタージュである。現在、美容整形がどのような形で、そしてどんな目的で行われているのか、生の声から窺い知ることができるだろう。「身体加工の行為そのものが、『再生』のステップなのだ」新しい自分に生まれ変わりたいという願望。美容整形を求める人間の内面を、鋭い視点で考察している。



朝日新聞/1991年12月17日 抜粋


ルポライターの山下柚実さんは取材体験をもとに「女性週刊誌などにはんらんするクイック整形、ナチュラル整形、立体メークといったコピーに動かされて、化粧をするような感覚で整形手術を受ける風潮」を紹介した。「しわとりクリームだって何万円もする。六十万円のしわとり手術は高くない」といった動機の軽さ。その一方で、「簡単」と言われて目の下の脂肪を取る手術を受けたが、取り過ぎてひきつれが生じアカンベ顔になった、などのトラブル。わずか十分ほどのカウンセリングで手術を受け、術後の患部の腫れや赤変などの後遺症に苦しむケースも多いそうだ。「拙速に手術を決断する患者の側の『詰めの甘さ』を見る」と山下さん。



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