柚 だ よ り
Y U Z U C O L U M N
7月号
今月の五感散歩は、「冨士講」と「銀座プランタン地下」です>

  いよいよ夏山登山の季節がやってきました。
 7月1日。私は毎年この日に、富士山の「山開き」へ出かけます。

……と言っても、高させいぜい数メートル、子どもでも年寄りでも登ることのできる、かわいらしいミニチュアのお山。
 そのお山の「山開き」が、あちこちで行われるのです。たとえば東京都
文京区の駒込富士神社。台東区の小野照崎神社。品川区の品川神社。お山の名前はみな「富士山」です。
 
 

 写真下は、渋谷区・鳩森八幡神社の境内にある富士塚。
 寛政元年(1789)に造られたものですが、とても保存状態がよく、かつ誰でも登ることができます。
 「冨士講」の人々が、山開き神事で、登山している様子。


富士塚には、ちょっと不思議な「呪文」のような言葉を唱えながら登ります。
 「サンゲーサンゲー ロッコンショウジョウ …… ダイニチ ニョーライ」


 「神竜」。冨士講の時にだけ、売られる開運グッズ。駒込富士神社の売り場にて。



 お江戸のころ、本物の富士山に登ることのできない女性や老人、子どもたちにも富士山登頂のご利益が受けられるように、と「富士塚」造りが始まりました。実際の富士山から運んだ溶岩を、神社の境内に積み上げた、模造富士です。ちっちゃいながらも、ちゃんと登山道があり、一合目、二合目という指標も立っていて、頂上には「浅間神社」が祀られていて。なんともチャーミングなお山。
 今も東京・神奈川・埼玉・千葉などに200基ほど残るとか。神社の境内でひっそりと静かに、登山客が来るのを待っています。

他人の手を借り、大金を使うエベレスト登頂ばかりが高齢者登山の話題ではないはず。お金と体力の無い庶民としては、ご近所にあるミニチュア「富士山」を見つけ出して、3分「登山」をおおいに楽しもうではありませんか。
    (東京新聞連載コラム7月1日より)

 
 
そして、7月8日付けの東京新聞で執筆した、デパ地下から発信される「お菓子ブーム」の風景についてはこちらを。
 銀座のデパート「プランタン」の地下では、ひんぱんに、テレビクルーに出会います。
 

 これまで「流行」というものは、多くの人々の評判や口コミ、噂をもとにした情報が、雑誌やラジオ、テレビとさまざまなメディアを介して複雑に広まってきたはず。
 しかし、最近の「流行」は、テレビがデパ地下を取材してオンエア、そして大ブレイク。しばらくすると飽きられて、客足はぱったり、ハイ終了。

 先日、プランタン地下へ出かけた時は、

 「うめぼしのクリームチーズパイ」が「ブレイク中」とありました。
 この夏の「流行」になるかどうか。
 


   新刊のお知らせ


『五感で楽しむ東京散歩』
岩波アクティブ新書より発売中。


 東京の町を、匂いを嗅ぎながら、触りながら、耳を傾けながら、味わいながら、じっくり眺めながら歩くと、まったく新しい風景がたあがってくる−−
 日本橋、柴又、渋谷・裏原、お台場、国分寺などなど、東京のさまざまな場所を、「五感」を使いながら歩いた散歩エッセイです。
 実際に歩くための地図も収録、カラー写真もたくさん盛り込みま
した。940円。   
 
↑さらに詳細な内容や写真などは岩波書店HP 岩波書店HPでも見ることができます。購入も可。



月3回発行のメールマガジン「五感の歳時記」発行中! 購読(無料)お申し込みは、yuzumi@rd5.so-net.ne.jpまで「購読希望」とお書きになり、メールをお送りください。