| デリー |
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| インドは私たちにとって、遠い国かもしれない。 神話時代から存在する民族衣装「サリー」を身に纏い、宗教を生活の軸として暮らす人々の姿がある。 合理主義の権化のような日本人には「神秘の国」、「精神世界」、「悠久の大地」として映る。 しかしその一方で、インドは91年から経済自由化路線をひた走る。街にはジーンズ姿でハンバーガーをかじり、ラップに興じる若者もちらほら。変貌するインドと、変わらないインドの激しい衝突があちこちで起こっている。 旅の途上で偶然、ヒンドゥー教三大祭りの一つ「ホーリー」に遭遇した。 祭りの日は3月末、月の満ち欠けや天体の運行によって年ごとに変化する。 新春を祝うこの日だけは、階級も国籍もない無礼講。見知らぬ人々同士が赤や緑、黄色の粉をなすりつけ、水に溶かしてかけあい、大はしゃぎ。 「シャッター・チャンス!」とばかりカメラを持ち出した私だが、友人は「危険だから、ホテルの外には出ない方がいいよ」。どうやら自ら上・中流階級と意識している人々は、「ロウワー・クラスの人々と色水をかけあう荒々しい祭りはナンセンス」と思っているふしあり。 ここ数年、祭りの中身が荒れてきている、という。経済自由化の恩恵を受ける一部の人々と、受けられない人々の間で、経済的な格差が広がりつつある。その不満を爆発させる日なのか、男たちは酒を飲んで大暴れ。 友人が止めるのも聞かず、こっそり路上でとったスナップ。このあと、私も顔にどろりした赤い粉をなすりつけられ、パニックになった。買ったばかりのコンタックスを真っ赤にされる寸前に、とっととホテルへ逃げ帰った。 (連載「変ぼうするインド」 社会新報・97.6.18) ▲ |
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